子どもの話したい気持ちを引き出す Show and Tell のススメ。

カナダの5才児がキンダーガーテンでやっていること、先日の記事では Phonics--Rhyme--Syllable を通じて国語としての英語を学んでいることを書きました。今日は同じく子どもたちがキンダーでやっている、 Show and Tell について紹介します。

Show and Tellというのは、一人の子どもが、クラスのみんなの前で、自分の好きな物を見せながらそれについて話す、キンダー〜低学年の子どものクラスで定番のアクティビティです。キンダーの子どもたちは(5才だったうちの長男も、現在キンダーの次男も)これをやっています。毎日数人ずつ順番でやるので、週1回どの子どもにも順番が回ってきます。

その日Show and Tellをすることになっている子どもは、家から何か自分が好きなものをクラスに持っていきます。
うちの子どもが過去に持っていったもの、例えばこんなものです。

  • はらぺこあおむしの絵本、日本語版
  • 自分が赤ちゃんのときの写真
  • クリスマスにもらったおもちゃ
  • キャプテン翼(まんが)
  • 腕時計
  • スキーのゴーグル
  • 骨折ったときに撮ったレントゲン写真(笑)

基本は何でもいいようです。担任の先生によって、おもちゃはダメ、とかルールがあったりします。でも要は、自分がみんなに見せたい(Show)モノ、それについて聞いてほしい(Tell)モノを持って行くわけです。話し終わったあとは、クラスメイトからの質問を受けたりします。

うちの子なんて、まともに英語を話したりしなかったのに、ましてや長男はかなりシャイだったのに、それでも毎回自分の番が回ってくる水曜日を楽しみにしていました。きっと、いつもは学校に持っていけないものを持って行けること、先生公認で何か自分の好きなもの自慢したりできること、それが嬉しかったりするんだろうと思います。

例えば長男はずいぶん小さい頃からスキーをしているのですが、学校の友だちとスキーに行く機会はありませんでした。そこで、スキーパスやゴーグルを持って行って、自分の大好きなスキーについてクラスメイトに伝えました。みんなが知らない自分を学校のみんなに知ってもらう絶好のチャンスなわけです。それはとても良いことだと思いました。

現在、まさにキンダーでこれをやっている次男は、毎週月曜に回ってくる順番が待ち遠しいようです。たいていおもちゃを持って行きたがります。何が楽しみかと言えば、Show and Tellが終わったあとに、その自慢の自分のおもちゃでクラスの友だちと遊べることみたいです。「持ってきたものは、決められた時間に友だちとシェアするのであれば遊んでいい」というのが、今の担任の先生が子どもたちに伝えているルールです。

Show and Tell こんな感じ。ちょうどいい動画見つけました。

そういえばこの前、こんな場面に遭遇しました。

街中でハタチくらいの女の子が買い物の紙袋を持って友だちの輪に入ってくる。すると周りの友だちが彼女に Hey, Show and tell!! 「ちょっと見せてみなさいよ〜」みたいな雰囲気で。なるほど、こんな活用法があるのかと。わたしもどこかで使ってみよう〜♪

このハタチくらいの彼女たちも、子どものときにShow and Tellをやってきたということですよね。日本人がプレゼンテーション能力に欠けているから、日本でも北米のような教育を真似て個人が意見を述べる機会を・・・なんていう話は(ときどきそんなことも聞いたりしますが)この際さておき。

子どもにとって、このShow and Tellの良いところは、

  • 自分の伝えたいことがある
  • 聞いて欲しい相手がいる

というところです。これは、英語の学習にぜひ取り込みたい、とても大切なことだと思います。子どもの英語学習に関連して、どうやってやる気を起こさせるか、を考えるときに、ぜひこれを答えにしてもらいたいです。なぜなら、これが本来の子どもが言葉を習得するモチベーションだからです。

自分の伝えたいことと、聞いて欲しい相手がいる。これって、言葉学習に本当に大切なことだと思いませんか?逆に、単語を覚えたり、ましてや文法学習ばかりが先立ってしまうと、子どもが言葉を学ぶモチベーションは低下してしまいがちです。また、Show and Tell の場合、手元にモノがあるというポイントも重要です。それがあることによって、言葉で全てを説明する必要がなくなり、ハードルがうんと低くなります。

だから、Show and Tellは英語学習ととても相性がよくお勧め!

ここで、親子での英語学習にも取り入れてみるアイディアを提案します♪
英語が話せない子ども相手でも「伝えたいことを、聞いて欲しい相手に伝える」というシチュエーションが実現できればよいのです。例えばこんな感じに・・・。

(子どもが粘土で何か作っている。)

親:This is very interesting!!
Did you make it all by yourself?
That's great!!
Can you tell me about this?
What is this?
Is this a bath tub?
No? Is this pool?
Who is this?
Who is in the pool?
Is the water very cold?

子どもがYes/Noで答えられる質問や、知っている単語で答えられる質問を親が投げかけてあげることで、英語を話せない子どもにもShow and Tellができるのです。ポイントは、子どもの表現力に合わせて質問をだんだん具体的にしていくこと、子どもが答えやすいように、答えとなる選択肢を提示してあげるのもよいです。おそらくうちに子どもも先生にこうやって手伝ってもらうことで毎回やっていたのだと思います。

もう1パターンやってみます。

(お気に入りのおもちゃを子どもに持ってきてもらう)
親:Which toy do you like the best?
I see. You like that toy best.
What do you call it?
What the name of this toy?
Tell me why?
Why do you like it?
Because it is very fun?
Because you can play it with your friend?
Because you like the color?
How do you play with this?
Can you show me, please?

こんな感じです。子どもが質問に答えられなくてもいいです。質問の意味も理解できなくていいです。2才前後の子どもに話しかけるときって、そんな感じになりませんか?

「何して遊んでるの?」
「それなあに?」
「ロボットなの?」
「どうやってやるの?」
「見せてくれる?」
「お、すごいね〜!!」

大人だけが一方的にしゃべっていても、決して一人芝居ではないんです。子どもが答えなくてもコミュニケーションが存在している時期がありますよね。それに近い感じで、子どもに簡単な質問をたくさん投げかけてあげてみるといいと思います。

大切なのは子どもが大好きな物、興味を持っているもの、誰かに見せたいものについて、親が興味を示しそれについて聞いてあげることです。それで、子どもの話したい気持ちがグ〜ンとアップする機会を創り出すことができるはずです。続けているうちに、きっと子どもの口から少しずつ言葉が出てくると思いますよ♪

ではでは。